第71期王座戦五番勝負で永瀬拓矢王座に3勝1敗で勝利し、藤井聡太八冠が誕生しました。
将棋界における八冠は史上初の偉業です。
藤井八冠は若干21歳にして数々のタイトル獲得や記録を達成してきました。
また、藤井八冠の昇段の速さは将棋界だけではなく、日本全国の注目を集めました。
頂点を極めた藤井八冠にとって、次なる目標とは。
現在9段の藤井八冠はどんな条件を満たせば、10段に昇段するのでしょうか。
この記事では、藤井八冠の現在の段位や、10段という段位の存在、これまでの軌跡と未来の展望について詳しく解説します。
藤井八冠の前人未到の偉業と、次のステップについて、一緒に考察してみましょう。
- 藤井聡太八冠の現在の段位は
- 藤井聡太八冠の10段昇段の条件は
- 過去に「十段戦」が存在した
- 藤井聡太八冠の偉業と将来的な展望
藤井聡太八冠の10段昇段の条件とは?
タイトルを完全制覇した藤井八冠ですが、これ以上昇段することは可能なのでしょうか?
結論から言うと、現在の将棋界に10段は存在しません。
以下では、藤井八冠の段位、段位の推移、そして10段という段位について詳しく解説していきます。
藤井八冠の驚異的な昇進速度や、将棋界における10段の存在について、深く掘り下げてみましょう。
藤井聡太八冠は何段?
藤井八冠の段位は「九段」です。
九段へ昇段するには、『竜王位2期獲得』、『名人位1期獲得』、『タイトル3期獲得』、『八段昇段後公式戦250勝』という条件があります。
藤井八冠は、2021年7月3日に行われた第92期棋聖戦で渡辺明名人(当時)を3勝0敗で破り、18歳11カ月という史上最年少でのタイトル初防衛を果たし、同時にタイトル通算3期獲得で史上最年少での九段に昇段しました。
これまでの最年少記録は第92期棋聖戦での対戦した渡辺明名人(当時)で、21歳7カ月での九段昇段でした。
藤井八冠は渡辺明名人(当時)の記録を大幅に塗り替えたのです。
2024年4月現在では、竜王・名人・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖とタイトルを完全制覇しているため、藤井聡太九段と呼ばれることはなく、段位がわかりづらくなりました。
呼称はいくつかあり、タイトルの中での格付けが高い竜王・名人から『藤井聡太竜王・名人』、タイトル防衛戦においてはそのタイトル戦の称号(例:王位戦であれば、藤井聡太王位)で呼ばれていました。
八大タイトルを獲得後も各タイトルの防衛に成功していることから、『藤井聡太八冠』と呼ばれることが多くなっています。
段位の推移!複数の昇段最年少記録を持つ
藤井八冠は、プロ入りからわずか数年で急速に段位を上げてきました。
その中で、藤井八冠がどのタイミングで昇段してきたのでしょうか。
詳細は以下のとおりです。
段位 | 昇段日 | 昇段時の年齢 | 記録 |
四段 | 2016年10月1日 | 14歳2ヵ月 | 史上最年少棋士記録 を更新 |
五段 | 2018年2月1日 | 15歳6ヵ月 | |
六段 | 2018年2月17日 | 15歳6ヵ月 | 最年少記録 |
七段 | 2018年5月18日 | 15歳9ヵ月 | 最年少記録(年間3回 の昇段は、現行制度で 唯一の事例) |
八段 | 2020年8月20日 | 18歳1ヵ月 | 最年少記録(王位・棋聖 のタイトル2冠) |
九段 | 2021年7月3日 | 18歳11ヵ月 | 最年少記録(棋聖防衛に より、タイトル3期獲得) |
幾度となく最年少記録を塗り替えてきた藤井八冠。
昇段だけではなく、プロ入りから負けなしの29連勝、最年少タイトル(棋聖)獲得、八冠達成とプロデビューから圧倒的な成績を残しています。
将棋界に十段はない
将棋界において、現在10段という段位は存在していません。
九段が最高峰とされており、藤井七冠が10段に昇段することはありません。
過去にあった十段戦というタイトル戦
過去には、竜王戦の前身となる十段戦というタイトル戦が存在しました。
もともと九段戦というタイトル戦がありましたが、1958年に昇段規定が改正され、九段が創設。
しかし、タイトル戦である九段戦は継続され、1958年の九段戦は挑戦者が大山康晴九段という複雑な状況になったのです。
このことから、1962年に十段戦が創設され、1987年まで行われました。
1988年には十段戦を主催していた読売新聞社が賞金額を増額。
これに伴い、竜王戦と名称を変更し、十段戦は発展的に解消されました。
十段を獲得した棋士
十段のタイトルを獲得した棋士は以下のとおりです。
- 大山康晴
- 加藤一二三
- 中原誠
- 米長邦雄
- 福崎文吾
- 高橋道雄
この中には、藤井八冠のプロデビュー戦の対戦相手で、「ひふみん」こと加藤一二三さんも名を連ねています。
加藤一二三さんは史上初の中学生棋士で、藤井八冠が記録を塗り替える前まで14歳7カ月という最年少棋士記録を保持していました。
2017年6月20日に引退されましたが、タイトル獲得合計8期のほか、最高齢勝利、最高齢対局、現役勤続年数、通算対局数、通算敗戦数が歴代1位を記録した将棋界のレジェンドです。
九段であった加藤さんは2001年の将棋連盟総会で十段の段位創設を提案しています。
自身が通算勝利数が1200勝を越えているほか、通算勝利数が1000勝に達している他の九段の名を挙げ、タイトルではなく段位として十段を創設するよう提案したのです。
しかし、現在まで十段が創設されるという情報はありません。
藤井聡太八冠の10段昇段の条件は存在しない!次なる展望は?
藤井八冠は将棋界のみならず、日本中で注目される存在となっています。
10段に昇段することはありませんが、今後どのような活躍を見せるのか、そして彼の目指す未来とは一体どのようなものなのか、目が離せません。
以下では、藤井八冠のこれまでの実績を詳しく振り返りながら、将来的な展望について探っていきます。
藤井八冠が目指す史上初の偉業、その背景とともに、これからの活躍に期待が高まること間違いなしです。
藤井聡太八冠のタイトル獲得の実績
2023年10月現在、藤井八冠は21歳3か月にして竜王・名人・王位・叡王・棋王・王将・棋聖に加え、第71期王座戦を勝利し、将棋界の八大タイトルを全て獲得しています。
その後も防衛により八冠を堅持していて、2024年4月現在のタイトル獲得合計は21期です。
詳細は以下のとおりです。
称号 | 奪取・防衛日 |
竜王(3期) | 奪取:2021年11月13日 防衛:2022年12月3日 防衛:2023年11月11日 |
名人(1期) | 奪取:2023年6月1日 |
王位(4期) | 奪取:2020年8月20日 防衛:2021年8月25日 防衛:2022年9月6日 防衛:2023年8月23日 |
叡王(3期) | 奪取:2021年9月13日 防衛:2022年5月24日 防衛:2023年5月28日 |
王座(1期) | 奪取:2023年10月11日 |
棋王(2期) | 奪取:2022年3月19日 防衛:2023年3月17日 |
王将(3期) | 奪取:2022年2月12日 防衛:2023年3月12日 防衛:2024年2月8日 |
棋聖(4期) | 奪取:2020年7月16日 防衛:2021年7月3日 防衛:2022年7月17日 防衛:2023年7月18日 |
参照:日本将棋連盟
2024年4月現在、通算タイトル獲得21期は歴代6位の数字で、同1位は羽生善治九段の99期です。
また、タイトル戦は挑戦失敗・失冠は一度もなく、連続獲得記録は歴代1位の21期と圧倒的な力を見せつけています。
将来的な展望
藤井八冠は2023年10月11日に永瀬拓矢王座との第71期王座戦五番勝負を3勝1敗で勝利し、全8タイトル完全制覇を果たしました。
それ以前の最高は七冠達成で、自身と羽生善治九段(竜王・名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖)の2人だけでした。
羽生善治九段が七冠を達成した当時(1996年2月14日に達成)は叡王がなく、七冠が最高。
第71期王座戦を勝利したことで、藤井八冠が史上初の八冠達成者となりました。
ただし、2024年4月現在の昇段規定では、藤井七冠が10段に昇段することはありません。
しかし、藤井八冠はさらなる高みを目指しています。
王座戦勝利後の会見で、「実力という点では、課題が多い。頂上が見えることは全くない」と自身の実力を客観的に評価し、まだまだ成長の余地があると考えているのです。
段位という形ではない、藤井八冠にとってのさらなる高みとはどんな景色なのでしょうか。
今後も藤井八冠の将棋人生から目が離せません。
総括:藤井聡太八冠の10段昇段の条件は?10段は存在しない
記事のポイントは以下のとおりです。
- 藤井聡太八冠の現在の段位は九段
- 2021年7月3日に史上最年少で九段に昇段
- 呼称は『藤井聡太八冠』
- 将棋界に「十段」という段位は存在しない
- 過去に「十段戦」というタイトル戦が存在した
- 加藤一二三さんは十段の段位創設を提案したが、実現していない
- 2023年10月11日の王座戦でタイトル完全制覇を果たした
- 八冠達成は、史上初の偉業