この記事では、チェスと将棋の違いについて深く掘り下げ、二つの競技がどのように異なるのか、そして似ている点について詳しく解説します。
チェスと将棋はどちらも長い歴史を持ち、競技人口は違えど幅広く愛されているボードゲームです。
しかし、盤面や駒の動かし方などルールの違いがあり、多くの面でその特色は異なります。
また、どちらのゲームが先に始まったのかという歴史的背景も気になる点の一つです。
この記事を通じて、初心者でもチェスと将棋の魅力と独自性を理解することで、両競技をより一層楽しむことができるでしょう。
- チェスと将棋の基本的なルールの違い
- 両ゲームの似ている点
- チェスと将棋の競技人口の規模
- どちらのゲームが歴史的に先に始まったのか
チェスと将棋の違い!ルールや難易度について
- ルールの違い:駒の動き方など
- 似ている点は?
- どちらが難しい?
ルールの違い:駒の動き方など
まずは、チェスと将棋の基本的なルールの違いから考察します。
チェスのルール
チェスは2人で行い、盤面は8×8のマス目で、各プレイヤーは白または黒の駒を持ちます。
目的は相手の「キング」を詰ませることです。
各プレイヤーは、キング1、クイーン1、ルーク2、ナイト2、ビショップ2、ポーン8の駒を使用。
それぞれの駒の動き方にはルールが存在します。
駒の種類 | 動き方 |
キング | 1マスだけどの方向にも進める 進む先にある敵の駒は取ることができる ただし、敵の駒に取られるマスに進むことはできない |
クイーン | 縦横、斜めに何マスでも動ける 進む先にいる味方の駒を飛び越えることはできない 進む先にある敵の駒は取ることができる |
ルーク | 縦横に何マスでも進める 進む先にいる味方の駒を飛び越えることはできない 進む先にある敵の駒は取ることができる |
ナイト | 前後左右に2マス進み、その左右に1マスのところへ進める ※将棋の桂馬の動きを前後左右にできる 進む先にいる敵・味方の駒を飛び越えることができる 進む先にある敵の駒は取ることができる |
ビショップ | 斜めに何マスでも進める 進む先にいる味方の駒を飛び越えることはできない 進む先にある敵の駒は取ることができる |
ボーン | 前に1マスだけ進める 最初の位置からは2マス進むこともできる 目の前に敵の駒があると進むことはできない 斜め前にある敵の駒を取ることができる |
キングが攻撃される『チェック』の状態になった時は、必ずチェックを解除する動きをしなければなりません。
相手のキングを動けなくして、『チェックメイト』にすると勝ちです。
ゲームは交互に駒を動かして進みます。
自分の番ではどの駒をどう動かすか考え、戦略的に相手のキングを詰ませるゲームです。
将棋のルール
将棋も2人で行いますが、盤面は9×9のマス目になっています。
目的は相手の「王将」を詰めることです。
プレイヤーはそれぞれ、王将1、飛車1、角行1、金将2、銀将2、桂馬2、香車2、歩兵9を持ちます。
各駒は特別な動きをします。例えば、王将と金将は周りの1マスに移動でき、銀将は前と斜め前に移動できます。飛車は縦横無限に、角行は斜めに無限に動けます。桂馬は特別で、前に2マス進んだ後に1マス左右どちらかに動きます。
相手の駒を取ったら、「持ち駒」として自分の番に使えます。これが将棋の特徴の一つです。
また、王将と金将以外の駒を敵陣(相手側の3マス)まで動かすと『成り』という強化ができます。
ゲームは交互に駒を動かしながら進めます。自分の駒で相手の王将を攻めて動けなくし、「詰み」となったら勝ちです。考えながら最適な一手を選び、相手の王将を目指しましょう。
両者の違いは?
上記内容から両者の違いは以下のとおりです。
項目 | チェス | 将棋 |
---|---|---|
盤面の サイズ |
8×8 | 9×9 |
駒の色 | 白と黒 | 両方とも同じ色(向かい合って右側が先手) |
駒の種類と数 | 6種類16枚 キング1、クイーン1、ルーク2、ナイト2、ビショップ2、ポーン8 |
8種類20枚 王将1、飛車1、角行1、金将2、銀将2、桂馬2、香車2、歩兵9 |
駒の動き | 特定のパターンで動く(ナイトはL字、他の駒は直線や斜め) | 特定のパターンで動く(桂馬は特別な動き) |
駒を取るルール | 相手の駒の場所に移動して取る | 相手の駒を取って持ち駒にする |
成り | なし | あり |
盤面のマス目や駒数が多いほか、『成り』という駒が強化されるルールを持つ将棋のほうがより複雑な構造となっています。
似ている点は?
チェスと将棋には似ている点も多くあります。
具体的には以下の表のとおりです。
項目 | チェスと将棋 |
---|---|
プレイヤー数 | 2人 |
盤面 | マス目がある盤面 |
駒の使用 | 異なる動き方をする複数の駒を使用する |
目的 | 相手のキングまたは王将を詰めること |
駒の特性 | 駒は特定の方法で動く |
交互に動かす | プレイヤーは交互に駒を動かす |
いずれとも駒の動かし方やゲームの進め方に戦略が必要なゲームです。
どちらが難しい?
どちらも戦略や覚えるべきルールが存在し、どちらが難しいというのは簡単には決められません。
しかし、競技初心者にとって将棋は取り組みにくさを感じるかもしれません。
その理由は将棋独特の『持ち駒』ルールにあります。
このルールにより、取った駒を自分の駒として再利用できるため、戦略がチェスよりも複雑化しているのです。
また、将棋には『成り』のルールがあり、駒が敵陣に入ることでより強力な動きができるようになるため、ゲーム中にプレイヤーが考慮すべき選択肢が増えます。
そのため、プレイヤーの高度な戦略予想と柔軟に戦略を変更する必要があります。
さらに、将棋の盤面が一回り大きく、駒の種類も多いため、戦略のバリエーションが豊富であり、それぞれの駒の動きを理解して活用しなければいけません。
これらの点から、将棋はチェスに比べて、特に初心者にとって覚えなければいけないルールの多さと戦略の深さから難易度が高いと言えるでしょう。
チェスと将棋の違いを競技人口や歴史から検証
- 競技人口はチェスのほうが多い
- 歴史:どっちが先に始まった?
競技人口はチェスのほうが多い
チェスの競技人口は世界中で約6億人と推定されています。
これには、趣味としてチェスを楽しむ人から、競技として真剣に取り組むプレイヤーまで幅広い層が含まれます。
チェスは国際的な競技として広く認知されていて、多くの国で学校の教育プログラムに取り入れられていることも人口を増やす要因の一つです。
一方、将棋の競技人口についての正確な数字はより限定的で、日本国内における推定では数百万人程度とされています。
将棋は主に日本で広く楽しまれているゲームであり、近年ではインターネットを通じて国外でもプレイヤーが増えつつありますが、チェスほどの国際的な普及は見られません。
これらの数値は推定であり、競技人口は常に変動しています。
また、インターネットの普及により、特に将棋のような地域に根ざしたゲームの国際的なプレイヤー層が拡大している可能性もあります。
歴史:どっちが先に始まった?
実はチェスと将棋の起源は同じで、一般的に古代インドで行われていたゲーム『チャトランガ』とされています。
チェスも将棋もこのチャトランガから派生したと言えますが、それぞれが独立して独自のルールや文化を形成してきました。
チェスの歴史
1500年前のインドで始まったチェスは、ペルシャやアラビアを経てヨーロッパに伝わり、15世紀に現在のルールが確立しました。
ヨーロッパではチェスが貴族や知識人の間で人気になり、19世紀には初の世界選手権が開催。
1924年には国際チェス連盟が設立され、特にソ連でチェスが推奨されました。
1972年、アメリカのボビーフィッシャーが世界選手権で勝利し、チェスが西側諸国で流行するきっかけとなりました。
現在チェスは世界中で人気があり、195カ国が世界チェス連盟に加盟しています。
日本にも日本チェス連盟があります。
将棋の歴史
将棋が日本にいつ伝わったかについては、明確な記録が残っていません。
伝来の経路には二つの説があり、一つはインドから中国、朝鮮を経由して日本に至ったもの、もう一つはインドから東南アジアを通じて日本に伝わったとされています。
平安時代にはすでに、人々が将棋を楽しんでいたことが知られています。
時が経つにつれ、将棋のルールや駒の種類に変化が見られ、特に注目すべきは、相手の駒を奪って自分のものとして再利用する「持ち駒」という規則が導入されたことです。
これはチェスにはないルールでゲームに新たな魅力をもたらしました。
江戸時代に入ると、将棋はさらに重んじられるようになり、名人は名家の地位を得て、将棋は日本文化の一翼を担うことになりました。
チェスと将棋の違い!起源は同じだが、伝来ルートによって変化していった
記事のポイントは以下のとおりです。
- 盤面はチェスが8×8のマス目、将棋が9×9のマス目
- 両者とも目的は相手のキング(王将)を詰めること
- 駒数はチェスが6種16枚、将棋が8種20枚
- チェスには『持ち駒』『成り』のルールがない
- 将棋は「持ち駒」ルールが特徴で戦略がチェスより複雑化している
- チェスの競技人口のほうが圧倒的に多い
- チェスと将棋の起源は古代インドのゲーム「チャトランガ」とされる
- チェスは15世紀に現在のルールが確立
- 将棋は平安時代にはすでに日本で遊ばれていた
- 将棋のルールや駒の種類には時代と共に変化が見られる